大判例

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札幌高等裁判所函館支部 昭和29年(う)3号 判決

公職選挙法第二百二十一条第一項第一号の犯罪は所謂目的犯であつて同号所定の「当選を得若しくは得しめ、又は得しめない目的」を以て後段所定の行為を為すことがその犯罪構成要件であること勿論であるが、その目的が請託、依頼その他の方法により外部に表示されること及び之がその主たる目的であることを要するものではない。」しかるに原判決は起訴状記載の饗応の事実を認めながら「選挙人を饗応したりこれに贈物をしたりしたとしても投票又は選挙運動を依頼してその報酬若しくはその予約等苟しくも之が選挙罰則を適用して処罰せねばならないというにはその請託又は依頼が言動、動作に限つたことはないが単に内心的な心情の推則に止まらず何等かの形に於て表明されその因果関係の発展に於て為され客観的にこれを認定し得る場合でなければ投票買收又は運動買收のためにしたものとは認定出来ない。即ち正当の根拠を欠いており普通の社交上の儀礼の範囲を出来ないものと謂わなければならない。此の請託又は依頼が明示された場合は疑ないが明示を欠く場合如何なる標準によつて決したらよいか(中略)……明示の請託又は依頼は証人(中略)……被告人等の供述を見ても現われていない。然らば明示されない何等かの方法による依頼請託があつたかどうか(中略)……各場合を検討して見る」云々と説示している点から見て前記目的は内部的意思に止まらず明示又は黙示されることを必要とし且つその意見表示が客観的に認定し得べきものであること、かかる意思(目的)の明示又は黙示を欠く場合は正当の根拠を欠いておるのであるから饗応は普通の社交上の儀礼の範囲を出でないものと解釈し、かような(目的)意思があつたかどうかを確定することなくいちはやく「被告人等の所為は内心間接的には恩師有馬英二が若し立候補した暁は票の多からんことを庶幾つて居たことは推則出来ても被告人等の所為を公職選挙法違反として処罰するにはこの懇談会が直接票を得又は運動を依頼し当選を図る目的でなされたことを認定する証拠に乏しいから罪とならない」と断じていることは明に前記法律の解釈を誤り、ひいてはその適用を誤つたものであつて且つ判決に影響を及ぼすことが明であるから原判決はこの点において破棄を免れない。論旨は理由がある。

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